「最強のマンガ守護者は法律でも技術でもなく…」福井健策弁護士に聞く海賊版サイト問題 – ハフィントンポスト

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ただでマンガが読めるのはうれしい…かもしれない。だが、もしそれが日本のマンガを絶滅させようとしているなら、どうだろうか。

商業漫画をタダで読ませる海賊版サイトが大きな問題になっている。ネット上では出版関係者たちの「売り上げに影響が出ている」「違法サイトのせいで漫画が世の中からなくなる」といった悲鳴も聞かれる。

こうした事態を防ぐのが「著作権」の役割のはずだが…。そのあたりの仕組みはどうなっているのか。著作権に詳しい福井健策弁護士に基本的なルールを教えてもらった。

まずは、こうしたサイトが、著作権的にどんな問題点があるのかを聞いた。

(1)サイト管理者がマンガを公開している場合。

《典型的な「リーディングサイト」と言われるタイプの場合、人の著作物であるマンガ等を無断でスキャンしてサイト上にアップロードし読ませています。これは無断での「複製」と「公衆送信」ですので、日本に限らずたいていの国の法律では著作権侵害です。日本ですと、差止・損害賠償請求といった民事の責任に加えて、「最高で懲役10年」などの刑事責任も問われる行為ですね。》

「複製」や「公衆送信(ネット公開)」をするためには、著作権者の許可が必要だ。無断でやると、日本だと違法なだけでなく、「犯罪」にもなってしまうということだ。

(2)投稿者がマンガをアップロードする、投稿サイトの場合。

《「投稿サイト」の形を取っている場合、アップロードした本人がこうした著作権侵害の責任を負うのは当然として、サイト側にどういう責任が生じるかが問題です。物理的にはサイトも自社が管理するサーバーから無断で公衆送信を行っているとして、侵害責任を問われる可能性があります。》

この場合、投稿者の責任は(1)の場合と同じ。さらにサイト管理者も責任を問われるケースがある。

《日本には「プロバイダー責任制限法」(プロ責法)という法律があり、サイト側は侵害コンテンツだと知らず、かつ知るべき状況にもなかったのならば、免責されることになっています。逆に言えば、通知を受けるなどして侵害だと知るべき状況になった後はただちに削除しないと、免責は受けられません。これは米国にも同じような仕組みがあって、YouTubeなどのプロバイダーには「侵害通知窓口」があるのが通常です。》

出版社やマンガ家は、どんな対処をしているのだろうか。

《サイトへの削除要請や警告がまずは第一歩ですね。削除に応じなかったり、確信犯的に海賊版配布を繰り返している場合、差止や損害賠償請求、さらには警察と連携しての刑事での責任追及が考えられます。実際、私の事務所も海賊版対策に関わっていますが、多くの出版社がたがいに協力したりCODA(コンテンツ海外流通促進機構)と連携したりして、海賊版対策に取り組んではいます。》

出版社の努力が、一般の人に「見えにくい」理由は…

《出版社は個別の海賊版サイト名をあげて広く呼び掛けなどは通常行いません。サイトの「集客」に手を貸すことになってしまうからです。そのことと対策を行わないことは別で、少なくない出版社は対策に努力していると思います。》

《ただ、サイト閉鎖・摘発などの成果もあがりつつあるとはいえ、海賊版対策はしばしば次のような壁に阻まれて、難航します。》

  1. 追及の難しい海外のサイトの存在
  2. そこに身元を隠して海賊版をアップロードできる技術
  3. そこへのリンクは従来適法と考えられて来た点

出版社や政府が協力し、さまざまな攻防をし、そして疲弊している。そんな中でマンガを愛するファンたちはどうすればいいのだろうか。

《既に指摘もあるところですが、海賊版のマンガを見る行為自体は通常は違法ではありません。見ることは、現状では「法律」ではなく「モラル」の問題なのです。

《しかしだからこそ、鍵は読者たちの手に握られているとも言えます。「違法」であれば否も応もありません。国家が強制的に禁止する訳であり、それが嫌なら政府や国会を動かして法律を変えるほかない。しかし「モラル」に、そうした政府の強制力はありません。だから、漫画家や出版社に出来るのは、「クリエイターや創造活動を守るため、海賊版を読んだり人に勧めたりしないでください」と読者の自由な心に訴えることです。》

《どんなに強力な海賊版サイトでも、誰も読まなければ即時壊滅します。海賊版対策には、今後も制度面での対応や現場の努力が欠かせませんが、同時に、最大最強のマンガの守護者は法律でも技術でもなく、恐らく読者たちなのです。》





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