交通事故加害者の暴言「生活保護受給者は裁判なんて起こせない」はホント? – 産経ニュース

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 裁判というものは、何かにつけてお金がかかる。だからと言って、トラブルとは無縁な生活を送れるかどうか、それは誰にも分からない。富裕層であっても、生活保護受給者であっても、何らかのトラブルに巻き込まれてしまい、その結果裁判沙汰になる可能性は誰にでもある。「教えて!goo」には「生活保護を受けているが裁判起こせないんでしょうか」との質問が寄せられている。

泣き寝入りするしかないの?

 質問者の子供が自転車にひかれてしまい怪我を負った。相手が誠意のある対応をせず、生活保護を受けているから裁判なんて起こせないという暴言を吐いた。その暴言を許せない質問者は、生活保護受給者であっても裁判を起こせるかどうかを聞いている。その回答をみてみよう。

 「結論としては、生活保護を受けていても、裁判を起こすことはできます。相手は、『生活保護だから裁判を起こすお金なんてないだろう』と思っているのかもしれません。

まず、証拠を固めるためにも医師の診察を受け、診断書を書いて貰ってきてください。

(中略)法テラスで、無料の法律相談や裁判費用の立て替え(支援)を行なっていますので、まずは相談してみると良いと思います。(中略)生活保護を受給している場合、通常は、法テラスが立て替えた費用の返済が免除されます。ただ、一つ気をつけた方が良いのは、裁判を起こして、賠償金が入ったとして、その賠償金が収入として認定され、保護費から減額される可能性があるということです。黙っていればわからないかもしれませんが、福祉事務所は、預貯金を職権で調査できますので(生活保護の申請時に同意書にサインしているはずです)、そこをどうするかは考えておく必要はありそうです」(dolphinbearsさん)

 「裁判おこせますよ。起こして勝って。慰謝料ぶん取って、生活保護なんか受給停止してもらいましょう!それが一番良い!」(hideka0404さん)

 「日本全国に、『法テラス』という機関が在ります。経済的に裁判を起こせない人たちを支援する組織です。そこで相談なされば、道は開けるでしょう。『法テラス』で検索すれば、直ぐに分かります。お近くの「法テラス」に行ってご相談ください。ご健闘を祈ります」(heisenbergさん)

 結論は、生活保護受給者でも裁判を起こすことができるということだ。そして、「法テラス」に相談することを勧める回答が多かった。

生活困窮者でも訴訟可能

 さて、ここからはともえ法律事務所の寺林智栄弁護士にお話しを伺った。お金がなくても裁判はできるのか。

 「日本では、経済力の差によって訴訟を起こせるかどうかという規制は設けられていません。当然、生活困窮者でも訴訟を起こすことができます」

 裁判そのものには規制がなく、生活困窮者即ち生活保護受給者でも訴訟を起こせるという心強いお言葉をいただいた。具体的にはどうすれば良いのだろうか。

 「生活困窮者が訴訟を起こすときには、『民事法律扶助制度』を利用して、弁護士費用等の援助を受けることができます。『民事法律扶助制度』とは、生活困窮者(一定基準以下の収入の方)が法的トラブルにあったときに、無料で法律相談を行い、弁護士・司法書士の費用の立て替えを行う制度のことです。現在、この制度を実施しているのは、独立行政法人の日本司法支援センター(通称『法テラス』)です」

 教えて!gooの回答でも出てきた「法テラス」が有力な味方になって貰えるということだ。しかし、費用の建て替えという言葉が気になった。利用する場合には、審査があるのだろうか。

 「訴訟を起こす場合、まず、弁護士費用等の援助をすることが適切かどうかにつき、法テラスが審査を行います。審査を通過して『援助決定』がなされれば、法テラスが弁護士費用をまず立替え払いし、援助を受けた人は、法テラスが立て替えた費用を、原則的に毎月分割で償還(返済)するしくみになっています。訴訟を起こすにあたって、あくまでも立て替えとなるので、後々返していくことは覚えておかなければいけません」

 やはり審査はあった。では生活保護受給者でも償還(返済)しなければいけないのだろうか。

 「生活保護受給者については、原則として、援助決定の際に『償還猶予』という決定がなされ、事件終了時も生活保護を受給している際には、『償還免除決定』というものがなされて、弁護士費用の支払いをする必要がなくなります」

裁判所に払う諸費用にも救助規定あり

 なるほど、猶予規定があるおかげで、生活保護受給者は返済を免除される。この規定は朗報なのではないだろうか。だが、弁護士費用の他に裁判所に支払う諸手続き費用についてはどうなるのだろう。

 「訴訟を提起する場合には、その費用を裁判所に納付することになっており、訴状に収入印紙を貼付して支払いをする方法が採られています。生活が困窮していて、この費用を納められない人については、『訴訟救助』の申し立てをして、裁判所がそれを認めれば、支払いを後回しにできることになっています。この場合、裁判終了後に裁判所に命じられた時点で支払いをすることになります」

 裁判所に支払う費用についてもある程度の救助規定があるとのこと。また、最初から「法テラス」を利用せず弁護士に相談し、その結果、着手金や成功報酬などの費用を払うだけのお金がない場合でも、その時点から法テラスを利用することは可能である。

法テラス利用の条件は

 さらに、法テラスを利用する条件でもある「一定基準以下の収入」とは、おおよそ【申込者とその配偶者の収入と家族の人数】で決まる。例えば一人暮らしの方の場合、ボーナスを含めた手取りの収入が月18万2000円以下であれば条件を満たす。二人暮らしの夫婦であれば、二人の収入の合計が月25万1000円以下となる。申込者が家賃を負担しているかどうかや、住まいが東京かどうかなどによって少々変わるが、これらの条件を満たしさえすれば泣き寝入りする必要はない。仮に訴訟を起こさなかったとしても「法テラスでは無料で法律相談を受け付けている。泣き寝入りの前に、まずは行動してみてはどうだろうか。(ライター 与太郎)

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