有給休暇は会社に買い取ってもらえるのか 原則禁止も例外が3つ – livedoor

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有給休暇とは?

働き始めると一度は意識したことがあるであろう「有給休暇」。字のごとく「休暇を取る(働かない)日に対してお給料が補償される」という制度で、法律上設けられている休暇です。

現在の取得率は48.7%という結果が出ています(厚生労働省「平成28年就労条件総合調査」より)。有給休暇をすべて取得できる職場もあれば、全く取れない職場もあるという現実のなか、「有給休暇を使いきれなかったので、その分お金をください」ということは認められるのでしょうか。

あなたが取れる有給休暇は何日?

有給休暇については、最低限度の基準が労働基準法という法律に定められています。具体的には、入社日から6か月間継続して働き、労働すべき日の8割以上の出勤率を満たした場合に10労働日、それ以降は1年ごとに勤続年数に応じて取得できるという制度(各期間において8割以上の出勤率を満たすことが必要)。

ただし会社によっては、法律で定める基準を超える設定をしている会社もあります。例えば、入社後6か月を待たずして、入社した時点で何日か取得できる会社、日数が労働基準法で定める日数より多い会社など……。自分の有給休暇は何日あるのだろうと疑問に思った場合は、会社のワークルールブックである「就業規則」を見ると掲載されています。

そもそも有給休暇はなんのためにあるものでしょうか。それは「心や体の疲れを回復させ、健康に働くことを目的とした制度」。働きづめで仕事をすると、心あるいは体に負担をかけてしまうもの。適度に休みを取ることによってリフレッシュしましょうという意味があるのです。

有給休暇を会社に買い取ってもらうことは可能か?

答えを言うと、有給休暇の買い取りは原則「禁止」されています。有給休暇は心や体を休める意味があるのだと考えると、有給休暇をお金で買い上げるというのは趣旨に反していることがわかるのではないでしょうか。

つまり、会社が「給料は払うから、有給休暇を取らずに働いてくれ」というのは本来の目的から外れるためです。しかし、実は3つの場合だけ例外があります。

1つ目は、労働基準法で定める基準を超えた日数を会社が与えていた場合、その法律を超える日数について取得できなかった場合は買い取ることができます(買い取りの規定は設けておくことが必要です)。

2つ目は、時効によって消滅してしまう有給休暇の買い取り。有給休暇は、与えられてから2年で時効となります。つまり、今年の4月1日に与えられた有給休暇は、2年後の3月31日をすぎると「消えてなくなり」ます。この消滅してしまう有給休暇を買い取ることは可能であるとされています。

そして3つ目は、退職時に使いきれていない有給休暇を買い取る場合です。退職すれば当然有給休暇を取得できないわけですから、その分を買い取ることは可能です。

しかし、これらはすべて「会社が任意で設定」するものです。つまり、3つのケースに応じて「有給休暇を買い取ることにする」と会社が決めることはできますが、「買い取らなければならない」ということではありません。

有給休暇の趣旨を忘れないことが大切

現在、「働き方改革」ということが叫ばれています。働き方改革は休み方改革だという方もいます。その中で「有給休暇の強制取得」という法案が提出されたり、有給休暇をより一層取得できるように社内改革を進めている企業の動きもニュースで取り沙汰されるようになりました。

しかしその一方で、企業風土の中で有給休暇が取得しづらい企業も少なからず存在します。考えたいのは、「有給休暇を取れる仕事の状態だけれど、風土(雰囲気)の問題で取れない」のか、「そもそも仕事が忙しすぎてとることが出来ない状態」なのかということ。

もし後者であれば、仕事の進め方から見直していく必要があります。言い方を変えると、仕事の進め方を改善するチャンスであると考えます。

労働力人口がこれからさらに減少する中で、フルタイム(正社員)ではない方も含めた全員が「健康で働き続けられる会社」を目指さなければ、これからの時代生き残っていくことは難しいのではないでしょうか。

社会保険労務士として様々な現場を見ていますが、有給休暇の取得状況に、小さい会社だから、大きい会社だから、といった会社の規模は関係ありません。「どうすれば健康で長く働き続けられるか」という目的を見失わず、今一度働き方を経営者も働く社員も一緒になって本気で考える機会がきたのではないか、そう私は感じます。

【神野 沙樹:社会保険労務士】

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