「見えない街」の誘惑 近未来を歩く(2) – 西日本新聞

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 「見えない街」がある。福岡市で暮らす30代のベトナム人、ティンさん=仮名=も「住人」だ。そこは日本語が苦手でも困らない。異国での生活に必要な情報を教えてくれるし、何より寂しさが紛れる。住人はみんな、ベトナム人だから。

 同胞間SNS 闇取引も

 インターネット上に在留外国人が出身国別に集う会員制交流サイト(SNS)が広がる。ティンさんも頻繁に利用する。市役所の相談窓口はあるが、そちらには足が向かない。言葉が伝わらないと思うと、怖い。

 でも最近、見えない街でも怖い目に遭った。「在留カードを作りたい」。そう書き込んだら「顔写真と名前、生年月日があれば作れる」と返ってきた。費用は2万~2万5千円。偽造カードの勧誘だった。

 化粧品も格安で売買されている。盗品のようだ。就職に役立つ日本語能力試験の偽造認定書は「人気商品」。就労ビザなどが認められない外国人が働き続けるために偽装結婚する誘いもあり、友人は仲介料20万円を払ったという。

 「正しい情報を日本人側から届けないと、振り回されてしまう」。在留外国人の相談に無料で応じている福岡県行政書士会国際渉外部の古城良部長(43)は警戒感を強める。

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 フェイスブック、LINE(ライン)、インスタグラム。日本で主流のSNSだが、中国人には微博(ウェイボ)の利用者が多い。

 福岡県留学生サポートセンターは4年前から、微博の活用を始めた。日本人と外国人のスタッフが一緒に法律相談会や交流イベントを企画し、中国人スタッフが情報発信。当初はアクセス数を順調に伸ばしていた。

 ただ、そのスタッフが帰国してからは更新が滞りがちになっている。「外国人が急増して支援態勢が追いつかない」。日本人スタッフは模索を続ける。

 「ナマステー(こんにちは)」。13日、山口県下関市の日本語学校。ネパール人のラム・クリシュナ・シェルスタさん(34)が留学生に母国語で呼び掛けた。

 福岡市在住の会社員。来日11年目となり、日本の生活情報に精通する。「滞在の長い先輩外国人の指導が効果的」と3年前から各地で経験を語っている。

 質疑の時間。留学生から「どうすれば楽に稼げますか」と尋ねられた。高収入をうたい、30万~50万円で就職先を仲介するブローカーの存在を知っているようだ。誘惑に負けると、不法就労に陥りかねない。「地道に日本語を勉強してスキルを磨きなさい」。厳しい口調に、留学生の背筋が伸びた。

 一方で福岡市在住のネパール人たちは、市職員や行政書士を招いた会合を定期的に開き、在留管理制度の学習などに取り組んでいる。専門知識はやはり日本人から聞くのが正確だ。「日本の人たちと協力して、甘い言葉に唆されないよう伝えたい」とラムさん。見えない街が見えてきた。

 ◆6月17日に福岡市で公開シンポジウム

 西日本新聞社は、定住外国人との共生の道筋を探るキャンペーン報道「新 移民時代」の公開シンポジウムを6月17日午後1時半~4時、福岡市早良区西新2丁目の九州大西新プラザで開く。人口減社会で持続的発展を探る一般財団法人「未来を創る財団」(会長・国松孝次元警察庁長官)との共催で、入場無料。

 「フクオカ円卓会議」と題し、九州で外国人労働者が最も多い福岡県で暮らす外国人や支援者、企業経営者、行政関係者、日本語教育関係者、研究者らが一つのテーブルを囲む。

 定住外国人の受け入れ方針の明示や、官民で政策課題を議論する委員会の設置を政府に提言してきた国松会長が基調講演。本紙取材班が報道で浮き彫りになった課題を報告し「労働者としての外国人」「生活者としての外国人」をテーマに人口減時代の日本で共に生き、暮らす方策を考える。一般席は定員200人で申し込み不要。問い合わせは「新 移民時代」取材班にメール(imin@nishinippon-np.jp)で。

=2017/05/31付 西日本新聞朝刊=





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