【WSJで学ぶ経済英語】第281回 ネガティブ・エクイティ – ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

Home » 土地家屋調査士 » 【WSJで学ぶ経済英語】第281回 ネガティブ・エクイティ – ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
土地家屋調査士 コメントはまだありません

<今週のキーワード>

Negative Equity(ネガティブ・エクイティ)

<例文>

The latest stress signal comes from auto research firm Edmunds.com, which said in a recent report that record numbers of shoppers are trading in old cars for new ones when they still have substantial amounts due on their existing car loans.(中略)That is up from 30% in the same period a year earlier and just 22% five years ago. The average amount of negative equity also reached a record, at $4,832.(2016年11月30日)

 自動車調査会社エドムンズ・ドットコムの最近のリポートによると、新車を買うために車を下取りに出した人のうち、自動車の評価額が自動車ローン残高を下回る状態となっていた人の割合が過去最高に達している。(中略)この割合は1年前には30%で、5年前はわずか22%だった。ネガティブ・エクイティの平均額は過去最高の4832ドルに達した。

【キーワード解説】

 2020年の東京五輪を当て込み、都心臨海地区は高層マンションの建設ラッシュが続いている。30年以上路線価日本一を続ける銀座・鳩居堂前の地価も、昨年は2006~08年のミニバブル期を上回り、一部に不動産バブルの再燃との声もある。となると住宅購入を検討する人々が用心しなければいけないのが「negative equity=ネガティブ・エクイティ」だ。

 「ネガティブ・エクイティ」とは、住宅や車などをローンで購入した後、急激な景気後退でそれら価値が急落して、返済しなければならないローン残高を下回ってしまうことだ。つまり、その価格の落ちた資産を売っても、ローン全額を返済できない状態を指す。

 「エクイティ=equity」は、経済英語では一般的に「株式」の意味でよく使われている。この「ネガティブ・エクイティ」の「エクイティ」との連関が見えづらいが、実はともに「対価物」という意味だ。ある会社に出資した金額に見合う対価が「株式=equity」であり、購入金額に見合う土地や家屋が「equity」というわけだ。それが値下がりしてローン残額を返せないマイナス状態になっていることを「negative」と形容し、この言葉になっている。

 「ネガティブ・エクイティ」はいわば所有資産が「含み損=unrealized losses」を抱えている状態だが、住宅について同義語的に使われるのが「underwater=水面下」だ。「underwater mortgage=水面下住宅ローン」はやはり、景気後退などで住宅価格が急落し、住宅ローンの未返済分が住宅価格より上回っている状況を指す。この言葉の方が、「ネガティブ・エクイティ」よりは新しく、2000年代終盤の欧米の住宅バブルの崩壊時ごろからメディアで多用されるようになった。

【表現のツボ】

 今週は名詞が固有名詞の形容詞として使われると冠詞が落ちることの復習。例文の「auto research firm Edmunds.com=自動車調査会社エドムンズ・ドットコム」の部分だが、単に「自動車調査会社」なら「an auto research firm」と不定冠詞の「an」が必要となる。

 ところが、後ろの固有名詞である「エドムンズ・ドットコム」を説明する形容詞として使われているため、「an」が落ちて「auto research firm Edmunds.com」となっている。これは定冠詞の「the」でも同じだ。「米連邦準備制度理事会(FRB)議長」ならば「the Federal Reserve Board Chairman/Chairwoman」となるが、「イエレンFRB議長」だと「Federal Reserve Board Chairwoman Yellen」と「the」が落ちることになる。

【その他の表現】

record numbers:過去最高数

trade in A for B:AをBの下取りに出す

amounts due:残高

<この表現が使われている記事>

米自動車ローンに忍び寄る危機、デフォルト急増も

*****************

竹内猛(たけうち・たけし) フリー・ジャーナリスト兼翻訳業

 1980年より共同通信社の日本語記者として主に経済ニュースを取材。日本のバブル崩壊時に日銀・大蔵省担当を長く担当。米国のジョンズ・ホプキンズ大学高等国際関係大学院(米外交・国際経済学修士取得)を経て、1997年よりダウ・ジョーンズ経済通信で英文記者。東京支局で日本政治・経済のコラムニストを務め、ワシントン支局で国際通貨基金(IMF)などを担当。2004年より東京支局のマクロ経済・政治総括担当副支局長。2010年の退社後、日本翻訳連盟の日本語から英語への1級翻訳士に2011年合格(金融・証券分野)し、2012年に同連盟の翻訳試験の出題・検定委員。ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、国際金融機関の定期出版物などの翻訳と、このコラムの前身である「金融英語」欄を2011年6月より担当。

LEAVE A COMMENT