自殺対策 当番弁護士の役割に期待 – 西日本新聞

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 大分県弁護士会が今月から過重労働や多重債務などを苦にした自殺を防ぐため、相談があれば24時間以内に応じる当番弁護士制度を始めた。法律家の立場から組織として自殺対策に取り組むという。

 自殺者数は減りつつあるが、なお年間2万人を超えている。法律的な問題を解決することで再起できる人も多いはずだ。命を守る活動として定着を目指してほしい。

 当番弁護士は本来、刑事事件で逮捕された人の要請に応じて弁護士が接見に駆けつける制度で、1990年に大分県弁護士会が全国に先駆けてスタートさせた。2016年版弁護士白書によると、登録している弁護士の割合は全国平均で47・1%だが、大分県は76・3%(119人)に及ぶ。

 今回の取り組みも、弱い立場の人の側に立つという弁護士の職業意識から生まれたのだろう。職業上自殺者の遺族に接する中で、借金苦などで法律的な整理ができていれば自殺は防げたのではないかとの共通認識が広がったという。

 相談の対象は、本人や家族、遺族、医療関係者などで、電話かファクスで連絡を受けて電話か面談により初回は無料で応じる。

 厚生労働省によると、自殺者数は2015年で2万4025人だった。特定
できた原因別では健康問題が1万2145人と最も多く、経済・生活問題、家族問題、勤務問題と続く。実際には複数の要因が絡み合っているとみるべきだろう。大分県弁護士会は相談内容を特に限定しないという。

 各地で社会福祉法人が運営する「いのちの電話」は訓練されたボランティアが電話で相談に乗り、励ますことで命を救っている。大分県弁護士会の新たな試みが法律上の実務面で問題解決につながることを期待したい。

 1999年に始まった司法制度改革により、弁護士の業務は法廷中心から地域や企業へと広がっている。自殺対策に限らず、さまざまな分野で法律の専門知識を生かして活動の幅を広げてほしい。そうした取り組みが弁護士と地域社会の結び付きも強めるはずだ。

=2017/04/11付 西日本新聞朝刊=

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