国際機関の事務局・事務所の誘致 - IFIARの常設事務局誘致を例として – Ministry of Foreign Affairs of Japan (プレスリリース)

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Vol.152
2017年4月5日

国際機関の事務局・事務所の誘致 - IFIARの常設事務局誘致を例として

2017年4月3日,監査監督機関国際フォーラム(IFIAR:International Forum of Independent Audit Regulators)の常設事務局が東京に開設されました。金融分野の国際機関は欧米に本部を置くものが多い中,IFIARは日本政府が参加する金融関係の国際機関の中では,初めて日本に本部を置くことになります。ここではIFIARの概要と,IFIARを始めとする国際機関の事務局・事務所の誘致について紹介します。


国際機関とは,国際社会に関わる様々な問題に取り組む組織のことです。国際機関には,国家間のもの(国際連合(UN)や国際通貨基金(IMF)等)や,民間のもの(赤十字国際委員会(ICRC)等),その他のもの(監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)等)など,様々な形態があります。国際機関は多くの場合,それぞれ本部となる「事務局」や支部となる「事務所」を常設し,運営しています。現在日本には,40を超える国際機関の事務局や事務所があり,東京だけではなく,全国様々な地域に設置された事務所は,諸機関の日本における拠点として活動しています。

IFIARのロゴマーク金融分野の国際機関の中でも,いわゆる公認会計士や監査法人などを監督する各国や地域の当局で構成されているのが,「監査監督機関国際フォーラム(IFIAR:International Forum of Independent Audit Regulators)」です。2000年以降に頻発した大規模な不正会計事件を契機として,監査品質を確保するため,監査業界から独立した監査監督機関の設立が米国を中心に世界各国で進められました。こうした中,2006年9月,各国・地域の監査監督当局間における協力や連携を強める目的で発足したのがIFIARです。日本からは設立時から金融庁と公認会計士・監査審査会が参加しており,2007年の第1回本会合は,東京で開催されました。しかし,これまでIFIARの常設事務局はなく,議長,副議長となる当局が,持ち回りで実質的に事務局機能を果たしてきました。


リーマンショック以降,金融に関する様々な国際会議が頻繁に開催される中,IFIARの役割はますます重要になり,業務が拡大していきました。発足から10年が経った2016年には,加盟当局数が当初の18か国・地域から52か国・地域(約3倍)に急増しています。経済のグローバル化に伴う多国籍企業の監査や国境を越えた上場の増加に加え,監査法人の国際的な統合の進展など,IFIARで対処すべき課題は深化する一方,金融危機後,他の金融関係の国際機関との関係強化という新たに取り組むべき課題も浮上しています。IFIARは発足当初の当局間の意見交換の場から,国際機関としての実質的な活動を伴う組織へと,急速に成長することが求められるようになりました。IFIARが一貫性を持って継続的に活動し,国際機関としての充実を図るためには,本部機能の強化は不可欠です。このような認識の下,IFIAR内で検討を重ねた結果,2014年に常設の事務局を設立することが決定し,ホスト国の募集が開始されました。

IFIAR加盟メンバー構成


日本は,IFIARの常設事務局の設立に関し,国際的なプレゼンス強化や,東京の国際金融センターとしての地位向上,監査の質の向上の観点から,ホスト国への立候補を表明しました。複数の候補国の中からIFIARにおける検討の結果,2016年4月のIFIARロンドン本会合において,2017年4月に常設事務局が東京に設立されることが決定され,事務局開設とともに第17回本会合も東京で開催されることになりました。金融関係の国際機関については,これまで日本に本部となる事務局を設置するものはなく,IFIARが初めての事例となります。それでは何故今回,誘致に成功したのでしょうか。大きな要因として言えるのは,このIFIAR事務局誘致に関して,日本は所管官庁である金融庁や公認会計士・監査審査会のみならず,官邸や外務省の全面的な協力の下,政府一丸となって誘致活動を展開したことが成果につながったのではないかということです。現在の加盟メンバーの6割を欧州地域が占める中,アジア地域は2割を占めるに過ぎません。そのような中で,今後の経済成長の可能性を秘めたアジア地域の未加盟国に対するアウトリーチの観点から,日本が最適な立地にあることを,逆にメリットとして粘り強くアピールしました。また,2015年3月に開催した公認会計士・監査審査会の設立10周年を記念した国際カンファレンスは,東京がIFIAR事務局の立地にふさわしい都市であることを実際に確認してもらう良い機会となりました。


IFIAR事務局が置かれる「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」外観(東京)このような取組の結果, IFIAR常設事務局の東京設置が決定されましたが,金融資本市場の信頼性確保に不可欠となる監査の質の向上を目的としたIFIARの事務局設置は,日本の国際的なプレゼンス強化と東京市場の国際金融センターとしての地位向上の観点等から見ても,極めて高い意義があると言えます。またIFIAR常設事務局の東京設置に伴う関連会合の東京開催などで,監査監督当局者や監査法人その他,監査に関連する世界中の人材が日本を訪れる機会が増えることも期待されます。その他にも,監査に関連する国内の様々な団体や専門家とのネットワークの構築や,国内の様々な主体における監査に関する意識の向上,監査の質の向上に向けた取組の一層の進展など,日本国内にも良い影響を及ぼすものと考えられています。


IFIARの常設事務局は,日本が誘致に力を入れ,複数の候補国の中から設置が決定されたものですが,その他にも,最近事務所が日本に開設された事例があります。UN Womenは,既存の4機関(国連婦人開発基金(UNIFEM),国際婦人調査訓練研修所(INSTRAW),ジェンダー問題担当事務総長特別顧問室(OSAGI),女性の地位向上部(DAW))を統合・強化する形で2011年1月から活動を開始したジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関です。2013年9月の国連総会一般討論演説において安倍総理は,女性の社会進出を促し,成長率を高めるべく,国内外での取組を進展させることを表明し,「UN Womenの活動を尊重し,有力貢献国の1つとして誇りある存在になることを目指す」ことを明言しました。その流れを受け,2014年から,国際女性会議WAW!(World Asssembly for Women)を開催。2015年4月にUN Women日本事務所が東京に設置され,アジア地域における唯一のリエゾンオフィスとして関係国際機関及び日本政府,企業,市民団体等との連携向上に貢献しています。

IFIAR事務局が置かれる「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」外観(東京)


IFIAR,そしてUN Womenの事例からもわかるとおり,国際機関の事務局・事務所の国内誘致・開設は,課題解決に対する日本のコミットメントを一層強め,その他国際機関との連携を高める上で非常に有効であると言えます。今回のIFIAR事務局の誘致は,資本市場の信頼性向上にとって不可欠である監査の質の向上に向けた国際的な取組にとって,重要な一歩となります。日本は今後,IFIARのホスト国として,グローバルな監査品質の向上により積極的に貢献していく予定です。





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