従来の会計業界の殻を破り、中小企業の「経営」を守る(中) – NET-IB NEWS

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 税理士、弁護士、社労士、司法書士、行政書士等々数多くの士業の垣根を越えて、フォーラムやさまざまなセミナーを手掛ける楠本グループ。忘れかけている日本人としての誇りを取り戻し、経営に活かすことで企業の存続を呼び掛ける。揺れ動く日本経済のなかで、「士業の本来の役目とは一体何か」。従来の会計事務所の仕事にとらわれず、M&A・組織再編・アジア進出・公益法人を活用した経営支援業務などを手掛ける(株)楠本浩総合会計事務所の代表取締役社長・白川正芳氏に話を聞いた。

(聞き手:弊社執行役員 緒方 克美)

会計業界だからこそのM&Aとは?

 ――白川社長は、「(一財)M&Aで日本を再編成する会」の理事も務めていらっしゃいますね。

(株)楠本浩総合会計事務所 白川 正芳 代表取締役社長

 白川 我々はM&Aを「マリッジ アンド アライアンス」と呼んでいます。「結婚と同盟」です。企業の売買取引ではなく、生存・継承戦略としてのM&Aに取り組んでいるためです。会計事務所の中小企業への関与率はほぼ100%であり、申告代理業務を行うため、企業の財務状況や後継者の有無、業界の可能性など、あらゆる情報を把握しています。だからこそ企業のすぐ傍にいる会計事務所が、後継者探しに乗り出せれば良いのですが、会計事務所は地域に密着しており、「地域を越えた相手探し」が不得手であるのが現状です。会計業界で広く情報交流できるネットワークを構築し、顧問先の力になることが当財団の目的です。

 当財団には、著名な弁護士、社労士など士業の方々も在籍されており、さまざまなご意見をいただくことができます。

 ――中小企業のM&Aを手がけるようになられたきっかけは何ですか。

 白川 クライアントからあるご相談をいただいたことです。「大切な取引先の会社が、後継者がいないため倒産しそうになっている。長年付き合っている我社としては非常に困るので、何とか倒産せずに済む手立てはないか?」という相談でした。そこで弊社が間に入り、その会社の社長とクライアントの結婚(M&A)の話をし、倒産せずに会社を存続させることができました。もしこの相談がなければ、その会社は田舎の農業の町にあり、25人の従業員の再就職は難しかったでしょう。それだけでなく、従業員が使っていた飲食店も閉鎖するしかない。地方の中小企業はその地域の経済圏に溶け込んでいますので、1社なくなるだけでも影響力は大きいのです。その意味でも、M&Aは地域経済にも貢献度が高いと考えています。さらに下請会社の社長も、清算だと自分のお金から手出しが必要でしたが、逆にお金を得ることができ、老後の心配もなくなった。この事実が私の仕事への大きな礎となっています。

 「清算したい」と会計事務所が相談を受けたときに、「わかりました。清算手続きをします」ではなく、「何とか継続できる道はないのか?」ということを思考してほしい。そのためには会計人の手で情報をいれる器を作る必要がある。すべてがうまくは結び付かないでしょうし、傷んでいる会社で清算を余儀なくされることもあるでしょう。しかし繋がる会社を繋げていければ、日本への非常に大きな社会貢献となるのです。

 また、地方の中小企業には経営力が不足しているケースが多々あります。経済圏がグローバル化し、地方でいいものを作っていれば売れるという時代ではなくなりました。M&Aを行うことで、グローバルな視点を持つ経営者が地方の企業をしっかり統括できれば、「資金」だけでなく「人材確保」も可能になります。地域に密着している会計事務所が、地方の中小企業のネットワークを作れば、経営難に苦しむ顧問先の手助けになるということに気付きました。

 今年で財団を立ち上げて3年になり、約350人の会員が在籍しています(平成29年2月17日時点)。まだ大きいとはいえませんが、少しずつでも会員とネットワークを拡大し、「後継者不在を理由に継続を断念する企業」を減らすために取り組んでいきます。

 ――最近はM&Aも珍しい話ではなくなりましたね。

 白川 経営者のなかには、自分のリタイアメントのことをほとんど考えていない方も多くいらっしゃいます。中小企業の動向分析などをまとめた「中小企業白書」によると、80代の経営者の3割が、自身の事業継承の時期を5年以上先と答えています。

 企業には、5つの出口しかありません。1つは倒産で、2つ目が清算。双方とも望ましい形ではありません。企業が長く続いていくための道は残りの3つです。1つが事業継承。しかし日本の中小企業の6割以上に後継者がいないという問題があります。もう1つは上場ですが、すべての中小企業が上場することは不可能です。となると、最後に残されている道がM&Aなのです。

 1人の経営者が長く経営することも大切ですが、長すぎると企業価値が下がる恐れもあります。できるだけ早いうちに、常に隣にいる税理士が「事業の出口をどう考えていますか」と指南できるということは、大切な仕事の1つです。

(つづく)
【文・構成:中尾 眞幸】

<COMPANY INFORMATION>
代表取締社長:白川正芳
所在地:福岡市中央区天神3丁目1−1
設 立:1989年3月
資本金:2,000万円
TEL:092-724-0110
URL:http://www.ksgroup.jp/



<プロフィール>
白川 正芳(しらかわ・まさよし)
1974年8月生まれ。1998年(株)楠本統合戦略マネージメント入社。(株)楠本浩総合会計事務所へ転籍後、楠本税理士事務所へ7年間出向。社内内部役員として顧客の支持を集め、2009年に(株)楠本浩総合会計事務所代表取締役社長に就任。一般財団法人日本相続学会所属。(一財)M&Aで日本を再編成する会理事。



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