FinTechビジネスの知財活用、M&Aとデュー・ディリジェンス – ITpro

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 今回は、前回までの話と変わって、FinTech企業のM&Aについて考えてみます。

M&Aにおける知的財産の意義と特徴

 日本では、知財立国を目指し知的財産の保護や活用が進む中、対象会社の知的財産の取得を狙ったM&Aも増加しています。スタートアップ企業のM&Aにおいては、知的財産が数少ない重要資産となり、会社そのものよりその会社が持つ知的財産が買い手企業の主要な関心事となることも多くあります。

 FinTech関連で言えば、銀行法の改正により(施行は2017年春頃の見込み)、銀行や銀行持株会社によるFinTech企業(金融関連IT企業等)の出資規制(銀行は5%超、銀行持株会社は15%超)が緩和されます。内閣総理大臣の認可制と変更になり、金融機関のFinTech企業へのM&Aのハードルが低くなります。

 一方、知的財産は、不動産などと異なる無形資産であり、その価値評価手法は確立されていません。また、技術やノウハウは毀損しやすく価値が不安定なところがあります。加えて、当該知的財産が他社の特許等を侵害していないかの確認を怠ると、差止や損害賠償請求といった紛争に巻き込まれる可能性も考えられます。

知的財産におけるデュー・ディリジェンス

 そこで、M&Aに当たり知的財産が重要な要素となる場合、通常知的財産に関しても、DD(デュー・ディリジェンス)を実施することになります。DDは、主に買い手側が対象会社側の協力を得て、対象会社から提供された資料やインタビューなどを通じて、M&Aの是非について判断するために行います。

 知財DDの範囲は、単に権利の有無だけではなく、技術面、ビジネスとの関係、法務、財務、税務といった多方面にわたることになります。そこで、弁護士だけでなく、弁理士や会計士、税理士との連携が必要となります。

知財デュー・ディリジェンスの方法とは

(1)調査対象

 まず、知財DDが対象とすべき権利関係を調査します。具体的には、特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権、商号、商品等表示・商品形態等知的財産法などに基づく権利が対象となります。昨今では、ドメインネームの保有権のようなものも含まれます。

 その他にも、上記知的財産に関するライセンス契約、共同研究契約、売買契約、担保契約などの契約類が対象になります。中には、明文化されたものがないこともあります。その場合は関係者のヒアリングや当時のメールのやり取りといった証拠によって権利関係を確定させていきます。

 また、開発者をはじめとした対象会社の知的財産のキーパーソン情報も重要な調査対象となります(M&Aによって重要な開発者が退職してしまうリスクがあるからです。)。知的財産は原則各国単位での権利であるため、M&A後のビジネス展開によっては海外における調査が必要となることがあるため要注意です。

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(2)何を調査するか調査に当たっては、1.権利関…

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